メヘンディ(ヘナタトゥー、ヘナアート)専門・ハート*フール

「ヘナ」と「タール系染料」

MEHNDI & HENNA

■「ヘナ」と「タール系染料」

以前出店したイベントで、ハート*フールとは別にもう一つ、メヘンディをやっているブースがありました(そちらのブースは"HENNA TATTOO(ヘナタトゥー)"という名称でされていました)。私自身、そのブースで描いてもらってきたのですが、結果的に言うと、"ヘナタトゥー"をやられていたブースで使用されていたのは、ヘナではなく、タール系の化学染料でした。簡単に確認した限りでは、ヘナは入っていない感じ…もしヘナが入っていたとしてもごく少量で、実際に肌を染めているのは、ヘナではなく化学染料の力のようでした。

私自身は、描いているご本人と、描かれるお客様が納得してさえいれば、科学染料や科学染料入りのヘナを使っていてもかまわないと思っています(ハート*フールでは、そういう化学染料は使用していません)。
現在の日本には、ボディアートに関する直接的な法律はありません。強いて言うのであれば薬事法の「化粧品」の定義が「化粧品とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、または皮膚もしくは毛髪をすこやかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう」ということから、メヘンディを始めとするボディアート関連の材料は、化粧品に含まれるべきなのでは?という解釈もありますが、実際にはボディアート関連の材料はそのほとんどが雑貨扱いとなっています(ヘナは化粧品登録されています。ボディジュエリーなどで使用する肌用のグルーなどは「アメリカFDA承認済み」と記載されていることがありますが、これはあくまでもアメリカでの基準であり、日本の薬事法で認められているというわけではありません)。厚生省に何度も問い合わせをしてみればわかる事ですが、対応をされた方によって「ボディアート」についての解釈が異なることもあり、雑貨扱いの材料を使用してのボディアートに関する回答は様々で、いまいちハッキリしません。ボディアートがまだ日本では一般的ではない事や、ボディアートに関する大きな訴訟が起きた事もなく判例もないため、扱いに戸惑っている…という感じです。
ただ、ボディアートに関する明確な規制がないとしても、お仕事としてお客様にボディアートを施しその結果なんらかの事故が起きてしまった場合、責任は施術者にかかってきます。事故の原因がボディアートに使用した材料で、その材料が化粧品扱いのものであれば製造販売元に事故の責任を問うこともできるかもしれませんが、雑貨扱いの材料を使用していた場合には全ての責任を施術者が負う事になりかねません。雑貨扱いの材料を使用してのボディアートは、そういったリスクがあることを施術者・お客様の双方が理解したうえで、行う事が大切だと思います。
リスクの軽減という意味では、メヘンディに関しても、使用するヘナやオイルなどは日本で化粧品登録をされているメーカー商品を使用するのが安全でしょう。

冒頭に挙げたヘナタトゥーのブースでは、お客様が「ヘナ」だと思われて体験されており、アーティストさん自身もヘナとタール系染料の違いをわかっていないようでした。どうやらそちらのブースをハート*フールのブースだと勘違いされて行かれた方もいらっしゃるようで、私としては、タール系化学染料の染まりをヘナだと思い込まれたり、万が一、ハート*フールが化学染料をヘナだと言って使用していると間違えられてしまっては大変困ってしまうので、ハート*フールではタール系染料は使用していない旨とあわせて、ヘナとタール系染料の違いを、簡単にですが写真付きで説明をいたします。

まず、タール系染料とは何か?ですが。タールとは、主に石炭や石油などを熱分解することで得られる、粘りけのある黒っぽい油状の液体のこと(植物から抽出できる場合もあります)。タール系色素は食品や化粧品にも使用されており、成分表記では「黄色○号」「青色○号」などと記されています。海外では、光毒性・発がん性や肝臓腫の原因になるなど、健康に有害であるとして使用を禁止する国も増えてきています。日本でも食品添加物として使用が許可されているタール系色素はごくわずかです。
日本の大手アジア雑貨チェーン店でもピンクや青色などにも染めることができる「HENNA」と書かれたチューブが売っていますが、それがタール系色素を使ったボディペイントの良い例だと思います。特徴としては、ねっとりとした粘りがあり、インクのような、ヘアマニキュアのようなつんとしたにおいがします。透明感を持った感じの染め上がりになり、ヘアマニキュアで肌を染めても、同じような感じに染まります(タール系色素はヘアマニキュアにも使用されています)。

さてでは、実際に私がそのブースで描いていただいた「ヘナタトゥー(もどき)」の写真をつかって、ヘナとタール系染料の違いを説明していきます。

【メヘンディの流れ 〜ヘナペーストで描いてから、最も濃く染まるまで〜】

タール系染料を使用した直後

1)肌にペーストを使用した直後

左側の小さな花模様がハート*フールの使用しているヘナペーストで、右側の大きな模様が他のブースで描いていただいたタール系染料のペースト。
ヘナのペーストは緑がかった黄土色をしていますが、タール系染料のペーストは、黒~黒に近い茶褐色をしています(もし青色に染まるものであれば、青みがかったペーストになっています)。また、前述したように、タール系染料のペーストはねっとりとした粘りがあり、インクのような、ヘアマニキュアのようなつんとした強いにおいがします。ヘナのペーストは、草のような畳のような匂いがします。

タール系染料が乾燥した後

2)ペーストが乾いたところ

ヘナペーストが乾くと、黒っぽくツヤのないマットな感じになります。ペーストを盛った厚みのままで、こんもりと乾いていきます。
タール系染料のペーストは、乾いた後もテラテラとした感じが残ります。また、ペーストの厚みがなくなり、肌にぺったり薄く張り付くようになります。粘度がとても高いため、塗りつぶしをしたところなどは、乾くまで時間がかかります。

乾いたタール系染料をはがす

3)乾いたペーストを落とすところ

ヘナのペーストをはがす場合は、かさぶたや、靴などについて乾いた泥を落とすように、ポロポロとはがします。小さな固まりのようなクズとなって、まさに「ポロポロとる」感じです。
タール系染料のペーストは完全に乾くと、何もしなくとも、描いた模様の形のまま肌から部分的に浮き上がってくる場合があります。この写真でも、乾いたペーストが浮いてきているのですが、わかりますでしょうか…?ヘナと違って「ポロポロとる」のではなく、「ペリペリはがす」感じになります。

タール系染料で染めた直後

4)ペーストを落とした直後

ヘナのペーストを落とすと、まずオレンジ色に染まっています。時間が経つにつれ茶色に変化していき、翌日~翌々日に最も深く濃い色に染まります。綺麗に染めるためには、ペーストを長時間(できれば最低でも2〜3時間程)肌にのせておく必要があります。染まり具合には個人差があり、描く体の部位によっても異なります。胸元など皮膚の薄いところはあまり濃く染まりません。
タール系染料のペーストは化学染料ですので、短時間で染まり、最初から濃い茶色に染まるのが特徴です(もちろん、青色に染まるものであれば最初から青色に染まります)。このペーストは20分程ではがしましたが、くっきり茶色に染まっていました(説明では15分程ではがして良いと言われました)。体のどの部位に描いても、染まりに大きな違いはなく、わりと綺麗に染まります。

以上が、ヘナとタール系染料の違いの比較ですが…何となく、わかりましたでしょうか…?
このタール系染料を使用したメヘンディ(もどき)は、よく東南アジアなどでチューブが販売されているのを見かけます。ヘナではなくとも「HENNA」と書かれていたりします。
このブースの方も、ご自身でペーストを作られているのではなく毎回シンガポールの方から購入しているそうで、今回のペーストのことは「マルーンヘナ」だとおっしゃっていました。2年前に同じ方に描いていただいた時も、同じくシンガポールから買っていると言うペーストを使用されていましたがその時は、ヘナ+染料と思われるペーストでした(ご本人はヘナ100%と言ってみえましたが、明らかに染まり方が違ったのです)。ちなみに「マルーン」とは、栗の色のような赤茶のことですが、今回はまさに栗の皮のような赤茶色に染まりました。

海外から出来上がった状態のヘナペーストを買う場合、やはり、ペーストになにか科学的なものが含まれていることや、今回のタール系染料のように完全なる化学染料を買わされてしまうリスクが少なからずあります。もし、ご自身が「ヘナ+自然のもののみを使って染める」にこだわっているのであれば例え面倒だったとしても、やはり自分自身でヘナパウダーからペーストを作ることをお勧めします。逆に、自分が納得した上でタール系染料などのペーストを使ってボディペイントをする場合は、お客様にもきちんと、ヘナではなく化学染料を使って染めている旨、説明をする必要があると思います。趣味で自分自身で個人的に楽しんでいる…という方も、自分が使用しているペーストがヘナなのかそうでないのかを判断するためにも、大まかにでもヘナやメヘンディがどういうものなのかを知っておくと便利です。

今回、いつもハート*フールでメヘンディを描かせていただいているお客様がそのブースで"ヘナタトゥー"を描いてもらい、その後ハート*フールのブースに立ち寄られ「いつも描いてもらっているのとペーストが全く違うけれど、これは大丈夫?」と、質問していかれました。
つまり、お客様はこれをヘナだと思って体験されており、その後「いつもとペーストが違う」と気がつかれたと言うこと。たまたま何度もメヘンディを体験していらっしゃる方だったので、おかしいなと思われたようですが、もしこれが初めてメヘンディを体験する方であれば、15分であっという間に濃い茶色に染まるのがメヘンディだと勘違いされてしまうかもしれません。

愛知万博の際に、各国のパビリオンで「ヘナタトゥー」が流行ったことがありました。ヘナを使用しているところと、PPD入りの化学染料であるブラックヘナを使用しているところがあり、ブラックヘナの使用で肌のかぶれや炎症が起きてしまったお客様が多数出たため、ヘナとブラックヘナ(=化学染料)の違いがしっかり説明されぬまま、ブラックヘナだけでなく、ヘナそのものが禁止されてしまったことがありました。
これは小さな例ですが、大げさに言えば肌に悪影響を起こす強い化学染料を使用したペーストを「ヘナ」と言ってお客様に使用し、お客様の肌に何らかの問題が起きるようなことがあった場合、勘違い&原因がきちんと解明されないままに、ヘナを使ったボディペイント=メヘンディそのものが禁止されてしまうことだってあり得るのです。

これからも沢山の方が、メヘンディを描いたり、描かれたりを楽しんでいくことができるよう、メヘンディをお客様に描く者一人一人が、責任を持ってヘナを使用していかなければ…と思います。ましてや、お客様に化学染料をヘナだと勘違いさせてしまうようなことはあってはならないことです。

最後になりましたが、先にも述べました通り、ハート*フールがメヘンディのために使用しているペーストは、ヘナ、水、レモン、砂糖を使用して自分で練っているもので、化学染料のペーストは使用していません。
イベントなどの際、ヘナで肌を染めることにこだわっていらっしゃる方や、化学染料に抵抗がある方は、ブースの方に「使用しているペーストはヘナなのか、自分で作っているのか」を、よく確認してから描いてもらうと良いかと思います。ペーストの中に何が入っているのか把握していないような場合や、短時間で染まると言われた場合は、避けた方が無難です。描いてもらった後にでも、おかしいなと思うことがあれば、すぐにブースの方に確認しましょう。何かあった時のためにも、描いてくれた方の連絡先を確認しておくと安心です。
また、ハート*フールにお写真などをお送りいただければ、わかる範囲でご相談も承ります。

ちょっと長文になってしまいましたが…
どうか今後も沢山の人が、メヘンディを楽しんでくださいますよう、切に願っております。

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