メヘンディ(ヘナタトゥー、ヘナアート)専門・ハート*フール

ヘナペーストに入れる精油の効果とリスク

MEHNDI & HENNA

■ヘナペーストに入れる精油の効果とリスク

メヘンディ用のヘナペーストを作る場合、より色が濃く染まるようにと、みなさん色々なものを入れて工夫しているかと思います。よく言われるのはレモンや紅茶など。また、ユーカリオイルなどの精油(エッセンシャルオイル)を入れる方もいらっしゃるかと思います。

さてこのペーストに入れる精油について、ちょっと気になる事が。
それは「精油の使用量、多すぎませんか?」ということです。

最近は海外のメヘンディ関連サイトから頑張って情報を探している方も多いようですが、これはとあるサイトに掲載されていたペーストのレシピです。

レシピの内容は、

  • ヘナ20g
  • レモン汁
  • 砂糖
  • 精油(ユーカリオイル)1.5ティースプーン
となっており、これで大体2~3本のコーンが出来ると記載されていました。

この後にペーストを作る手順も掲載されていましたが、レモン汁のみでペーストを溶き、それに砂糖と精油を入れるというもの。
海外で言うティースプーンというのは小さじのようなもので、1杯=大体5mlくらいの容量になります。

このサイトのメヘンディのやり方のページや、マリア書房さんのMehndi design bookにも書いてありますが、ヘナパウダーと水分の量は1:2が大まかな目安。
つまり、上記のレシピだと、約40mlのレモン汁に7~8mlの精油を入れることになり、精油の濃度は20%近い(ヘナの量を考慮した場合でも10%)という計算になります。

20%濃度の精油…
はっきり言って、入れ過ぎです!(レモン汁100%というのもどうかな、と思いますが…)

アロマテラピーやアロママッサージをやられていらっしゃる方はよくご存知かと思いますが、精油は基本的には稀釈して使うものです。マッサージなどの身体用のブレンドオイルに使用する場合は1%~3%の濃度、顔などの敏感な部分に使用するものに混ぜる場合は1%以下というのが一般的に安全と言われている稀釈率です。

精油は植物から取り出した100%天然の芳香成分で、「天然のもの=安全」というイメージを持っていらっしゃる方も多いかもしれませんが、
科学的に見ると精油はアルコール、エステル、アルデヒドなどの「天然の化学物質が集まって出来た有機化合物」ということになり、化学物質そのものが濃縮しているわけですから、当然リスクもあります。

精油の主なリスクとしては以下のものがあります。

【精油使用におけるリスク】
  • 皮膚刺激
    敏感肌の人は精油が元で、肌が赤くなったり、かゆみの原因になったり、肌荒れなどの症状が出ることがあります。
    ※ユーカリ、クローブなど
  • 感作作用(アレルギー誘発性)
    精油によってアレルギー反応を起こす人もいます。
    ※カユプテ、レモン、カモミールなど
    長期間の使用でアレルギーを誘発することもあります。
    ※ラベンダー、ティートリーなど
  • 経皮毒性
    皮膚表面から吸収された精油の成分が体内を循環し、内臓や神経組織に影響を与える場合があります。
    ※ユーカリ、クローブなど

こういったリスクを避けるためにも、精油には安全とされる稀釈率が定められているのです。
基本的には、濃度の高さに比例して効果が上がるというわけではないそうです。

中には、ラベンダーやティートゥリーなど高濃度または原液で使えると言われている精油もありますが、そのオイルの品質如何によっては、一概に安全とは言えません。
もちろん、どのような影響が出るかは個人差もあります。もし自分に問題がなかったとしても、他の人や、子供にとっては感作作用などをおよぼす可能性があります。

特にメヘンディ用のヘナペーストに精油を混ぜる場合、ペーストは出来るだけ長時間肌に乗せておく事が好ましく、場合によっては保護テープなどで密封することもあるわけですから、そこに混ぜられている精油のリスクもさらに高まってしまいます。
ですからヘナペーストに精油を混ぜる場合は、慎重に、そして自己責任で行わなければならないのです。

こういったことを知った上ですと、前述した海外のレシピにある「20%近い濃度で精油を入れること」がどれだけハイリスクなものかがわかりますよね。

では、どれくらいの量を入れるのがベストかと言うと、上記のレシピにある20gのヘナの場合、水分は約40mlとなりますので、1%濃度で精油を入れる場合は、

40ml×0.01(1%)=0.4ml
0.4ml÷0.05ml(精油1滴)=8滴

で、約8滴ほどの精油を入れるのが一般的な稀釈率で計算した場合の量、ということになります。

ヘナペーストに入れるユーカリオイル

日本でも、ヘナペーストに高濃度で精油を混ぜているアーティストさんはいらっしゃいます。
そういった精油が高濃度で入っているペーストを使ってメヘンディを描いてもらうと、場合によっては、ペーストの乗っている周りが赤く腫れたりします。ペーストを落とした後もしばらくは、オレンジに染まった模様部分がぷっくり腫れて痒くい状態が続く事もあります。
(以前書いたジャグアタトゥーでのかぶれと同じ症状です)

ハート*フールのスズケー自身は、ヘナペーストを作る際、以前は必ず精油を入れてペーストを作っていたのですが(もちろん稀釈率は守ってです!)、ある時イベントで常連のお客様に「ペーストを肌にのせている時、周りが少し赤くなる」ということを言われました。
少し赤くなるだけで、腫れたり痒くなったりするわけではないし、ペーストを落とせば赤みもすぐひくので問題ない、とはおっしゃってみえましたが、1%濃度の稀釈率をしっかり守って精油を使用していても、人によってはこうやってなにか症状が出る場合もあるのです。
幸い、そのお客様は赤くなるだけですみましたが、もっと肌の弱い方の場合、もしかすると腫れたり痒くなったりすることもあるかもしれません。

このことがあってから、イベントなど、不特定多数の方にメヘンディをする際には、ペーストに精油を入れる事はやめました。

メヘンディは、人に対して行うものである以上、「安全性」は絶対に無視してはいけないものだと思います。

精油が高濃度で入ったヘナペーストでお客様にメヘンディを描くだけでなく、レッスンやワークショップなどで何の説明もなく大量の精油を入れるペーストの作り方を教えている人もいますが、それはとても危険で、無責任な行為です。

現在高濃度で精油を使用している方からすれば「安全性ばかりにこだわっていたら何もできない!不自由過ぎる!」という言い分もあるかもしれませんが、
もし精油の入れ過ぎが原因でお客様に何か重大な問題が起きた場合、責任が取れるのでしょうか?
また、精油を高濃度で入れるのは「染まりを良くする」ためかと思いますが、私自身は、これまで、精油を大量に入れるというハイリスクを冒さなくとも、きちんと肌を染め、お客様にもご満足していただいています。
精油をたくさん入れれば良い、というものではないのです。

メヘンディを楽しむ事はもちろん素敵なことです。
でも、心から楽しめるのは「安全であるからこそ」というのを、忘れないでいたいものです。

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